コラム

Column

2026.8.8

アキパトが生まれるまで|空き家管理と就労支援をつなぐ取り組み

アキパト運営本部、代表の阿部です。
ありがたいことに、アキパトについて取材していただく機会が増えています。

また、パートナー加盟を検討中の不動産会社の皆さまからも、「アキパトはどうやって生まれたんですか?」と聞かれることが多くなっています。

そこで今回は、アキパトが生まれるまでの経緯を、少し振り返ってみたいと思います。

INDEX

[目次]

「空き家管理業をやりたい」

アキパトは、空き家・空き地への不安を安心に変えることを目指す、空き家空き地見守りサービスです。

地域の不動産会社と障がい福祉サービス事業所やシルバー人材センター等が連携し、空き家・空き地の見守りや管理を行うとともに、障がいのある人たちや高齢者の新たな就労機会にもつなげていくことを目指しています。

ただ、最初から現在の形を目指していたわけではありません。

始まりは、とてもシンプルでした。

「空き家管理業をやりたい。」

そう考えたことが、アキパトの始まりです。

不動産会社としての空き家管理業

アキパトの運営は有限会社エフジーネットワークが行っていますが、私は株式会社トーマスホーム(アキパト郡山店)という不動産会社も運営しています。

不動産会社として、空き家を管理することは、その後の売却や活用などにつながる大切な接点になります。

空き家を所有されている方と継続的な関係を築くことができれば、将来的な不動産相談につながる可能性もあります。

そんな思いから、空き家管理業について考え始めました。

空き家管理の相場に対する疑問

空き家・空き地の管理業を行うにあたり、まずは現在提供されている空き家管理サービスの相場を調べました。

多くのサービスは、月額5,000円程度からという価格設定でした。

もちろん、その価格には理由があります。

建物の外観確認だけではなく、通水、換気、異常確認、郵便物確認、清掃など、所有者様に代わってさまざまな管理を行うサービスだからです。

しかし、調べていく中で、一つの疑問を持ちました。

「すべての人が、毎月5,000円以上するフルサービスを必要としているのだろうか。」

通水や換気、異常確認、ゴミ拾いなど、さまざまな管理を必要とする方もいらっしゃいます。

一方で、

「月に一回、誰かが見に行ってくれるだけでも安心できる。」

「異常があった時だけ対応してもらえれば十分。」

そう感じる方もいるのではないかと思いました。

必要な方には、必要なサービスを提供する。

一方で、最低限の見守りだけを希望される方には、もっと利用しやすい価格で提供できるのではないか。

そこで考えたのが、

「最低限の見回りサービスを、1,000円を切る価格で提供できないか。」

ということでした。

もしそれが実現できれば、これまで価格面から空き家管理を利用することをためらっていた方にも、新たな選択肢を提供できるかもしれない。

そこから、アキパトの基本サービスとなる月額990円(税込)という考え方が生まれました。

「990円で回れますよー」

しかし、ここで一つ問題がありました。

「本当に、その価格で実現できるのか。」

サービスのアイデアがあっても、実際に現地へ行って作業をする人がいなければ、事業として成立しません。

不動産会社は、日常的に空き家や空き地がないか、地域を見て回ることがあり、弊社ではこれを「パトロール」と呼んでいます。

最初は、普段のパトロールのついでに見回りをすればいいと考えていました。

しかし、草むしりや枝切りなどのオプションサービスまで自社で行うとなると、そう簡単にはいきません。

だんだん、ただの空き家・空き地管理業ではなくなってくる

そこで相談したのが、一般社団法人アルバライズ(ライフステージ桜木)の代表理事である七海秀貴氏でした。

七海氏とは青年会議所(略称:JC)で知り合い、一緒に東北地区協議会という組織へ出向する機会もあり、仲良くさせてもらっていました。

また、仕事面では草刈りや落ち葉拾いなど、単発で作業をお願いしておりました。

オプションサービスとなる軽作業について相談していたところ、七海氏から、

「基本見回りも990円で回れますよー。」

という言葉が返ってきました。

正直、驚きました。

さらに七海氏は、草むしり、通水、換気、落ち葉拾いなど、今後必要になるであろうオプションサービスについても次々と価格を提示してくれました。

どれも非常にリーズナブルな価格でした。

そこで私は、就労継続支援B型事業所についても改めて教えてもらいました。

就労継続支援B型事業所では、利用者の方と雇用関係を結ぶのではなく、就労を支援するための「工賃」という形が基本となります。

そのため、

「この価格設定で本当に良いのだろうか。」

という思いもありました。

しかし七海氏から、地域の役に立つ仕事をつくり、障がいのある方が地域を守る役割を担いながら、就労のためのトレーニングにもつなげることにはとても大きな意味があると教えていただきました。

さらに話を聞いていく中で、全国の就労継続支援B型事業所には、屋外作業など新たな就労機会を求めている事業所も多いことを知りました。

ここから、アキパトの構想が少しずつ広がっていきました。

空き家に関する問題と就労支援をつなげられないか

日本全国には空き家があります。

そして、管理されない空き家は増え続け、特定空家等の問題も社会問題になっています。

一方で、日本全国には地域に根付いた不動産会社があります。

空き家や空き地を管理し、売却し、賃貸し、活用することが日常の仕事です。

そして、日本全国には就労継続支援B型の事業所があります。

利用者の方々が活躍できる場を求めています。

そこで、

「この三つをつなげることができるのではないか。」

と考えるようになりました。

空き家・空き地所有者にとっては、安心につながる。

不動産会社にとっては、地域課題に取り組みながら新たな事業機会につながる。

就労継続支援B型事業所にとっては、新たな仕事の機会になる。

それぞれが役割を持ちながら、一つの仕組みとして成り立たせることができるのではないか。

そう考えているうちに、

「これは、日本全国の空き家に関する問題や就労環境に関する課題の解決につながる仕組みになるかもしれない。」

と思うようになりました。

しかも、きちんとビジネスとして利益を生み出し、継続できる仕組みにできる可能性もある。

このとき、アキパトの構想が一気に広がりました。

ご縁が、アキパトを形にしていった

構想ができても、それだけではサービスにはなりません。

そこで相談したのが、高校生時代からの同級生でもある清水研一郎氏でした。

清水氏は株式会社ビオスという広告代理店に勤めており、WEBサイト制作について相談しました。

サイト制作について話をする中で、余計な装飾や機能は省き、必要なものをしっかり作ることで、協力的な条件で進めてもらえることになりました。

もちろん、「友情価格」ではありません。

きちんと会社として仕事をしていただいています。

思いつくまま進み、ただし遠慮も妥協もしなかった

この時の私は、頭の中で構想が膨らんでいる一方、サービスの細かい部分までは固まっていませんでした。

そのため、サイト制作を進める中でも、思いつくままにさまざまなお願いをしていました。

「見守りリクエスト機能があったら全国の見守り需要を可視化できるから、47都道府県分実装して。」

「ここは専用のフォームを付けて。」

「ごめん、やっぱり無しで。」

「本当にごめん、やっぱり入れたい。」

今振り返ると、かなり振り回してしまったと思います。

それでも清水氏は、一つひとつの要望に対応しながら、一緒にアキパトの形を作ってくれました。

そして最近では、むしろ立場が逆転しています。

「ひたすら空き家を見つけてチラシをポスティングして。」

「全国の市区町村分のコラムを書いた方がいいよ(要するに1,898ページ)。」

そんな、率直でありがたい提案を継続していただいています。

青年会議所での出会いが、アキパトにつながった

アキパト郡山店が業務委託している障害福祉サービス事業所、一般社団法人アルバライズの七海氏との出会いもそうですが、振り返ってみると青年会議所時代の経験が思わぬ形で生きていることを感じます。

青年会議所には「JC宣言」という宣言文があり、定例会や理事会などで、何度も朗読してきた言葉です。

改めてアキパトに置き換えてみると、不思議なほど重なる部分があります。

青年会議所は

→アキパトは

希望をもたらす変革の起点として

→空き家・空き地への不安を安心に変えるきっかけとして

輝く個性が調和する未来を描き

→誰もが社会に役割を持ち、安心できる未来を描き

社会の課題を解決することで

→空き家・空き地に関する課題や、障がいのある方や高齢者の方の就労環境に関する課題を解決することで

持続可能な地域を創ることを誓う

→安心して暮らし続けられる地域を創ることを誓う

こうやって言い換えてみると、「自分がJCで経験してきたことが、いつの間にかアキパトという事業につながっている」と感じます。

エフジーネットワークの歴史も、アキパトにつながっていた

そして、アキパトの根底には、エフジーネットワークが歩んできた歴史もあります。

父である先代社長は、1997年に「マンモスネットワーク」という不動産ポータルサイトを立ち上げました。

マンモスネットワークは多くの不動産業者の皆様に利用していただき、

「福島県だけはマンモスネットワークがあるから、大手ポータルサイトが進出できない。」

と言われるほど、ご支持をいただいていました。

エフジーネットワークという会社名も、不動産(F)業者(G)の頭文字を取ったものです。

不動産業者のための会社。

名前の通りの会社として歩んできました。

根底部分は変わらない

清水氏とアキパトの設計について話している中で、何度も気付くことがありました。

「これ、マンモスでもうやってるじゃん。」

そんなことが何度もありました。

不動産会社をつなぐ。

地域の不動産会社が活躍できる仕組みをつくる。

情報を集め、価値に変える。

形は違っても、根底にある考え方には共通する部分がありました。

エフジーネットワークという会社の経験が、今のアキパトのサービスづくりにもつながっている。

そのことに気付いたとき、アキパトを始めたことをやはり少し不思議に感じました。

アキパトは、多くのご縁が重なって生まれた

振り返ってみると、アキパトは本当に多くのご縁から生まれたサービスだと感じます。

七海氏との出会い、清水氏との遠慮のないやりとり、青年会議所での経験、そしてエフジーネットワークが積み重ねてきた歴史。

それぞれがつながり、アキパトは生まれました。

これからも、一つひとつのご縁を大切にしながら、その輪を少しずつ全国へ広げていきたいと思います。

そして、各地域が抱える課題の解決につながるサービスとなれるよう、挑戦を続けてまいります。

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